「大丈夫かい?」
その声に聞き覚えがあった。
「あなた……?」
優しくふわりと背中を包んでくれる、その温もりは亡き夫と同じだった。
でも、もう夫は生きてるはずが無い
でもこの感触は紛れもなく夫なのだ。
「1人にさせてすまなかったね……これからはもう寂しくさせないから」
そういうと私をお姫様抱っこをし、歩き始めた。
「何処に行くの?こんなことされたの久しぶりだわ」
夫の首を持ち落ちないように抱きついた。
私は久しぶりの温もりと夫の匂いに色んな感情が湧き出してきていた。
「俺がいいよって言うまで目を瞑っといて」
そういうと何処に行くのかを告げずあるきだす。
それから5分ぐらいたっただろうか、夫の足が止まり
「さっ着いたよ……でもまだ目を開けてはいけないよ」
そういうと私を下ろし、なにか分からない布のようなもので、目隠しをしてきた。