「ねぇ……覚えてる?」
「なんだよ、今いいとこなのに」
ふたつの身体が汗ばみ密着し合うベッドの上で、私は思い出したかのように男に喋りかけた。
「それ以上喋ると気が散るだろ」
「だって……」
「あぁぁぁぁ!いちいちうるせぇな、チッ……今日はもうやめだ」
そういうと男は私から身を離し、床に落ちていたデニムを履き、ワイシャツを羽織る。
ワイシャツから覗く男の身体は腹筋が割れ汗が一筋流れ落ちた。
「お前盛ってる時はいい女なのに、持ったいねぇ……」
「なんでそういう言い方しかできないの?」
そう返すと男は生返事を返してきた。
「はいはい、また連絡するわ」
「ねぇってば!」
そう言ってドア付近においておいた鍵をサッととると、出ていった。