すぐに決められない時がある。
言おうとして、口を閉じる。
動こうとして、足を止める。
何かをしようとして、その「前」に立ち尽くす。
躊躇いには、優柔不断という印象がつきまとうが、
私はこの「間」にこそ、人間らしさが宿っていると思っている。
即断即決が正しさの象徴のように扱われる時代において、
躊躇う事は不器用さとして見られるかもしれない。
しかし、躊躇いとは即ち、
その行為の重さを測っている時間でもある。
何を守りたいのか、何に迷っているのか。
一瞬の沈黙が、それを露わにする。
躊躇うという事は、
慎重であるだけでなく、誠実であるという事でもあるのだ。