私が美味しそうに見えているのか
アナタはさながらソムリエのよう。
近付いてくる匂いを少しでも拾おうと
必死に部屋の空気を吸い込んでいる。
勿論、私は香水などは付けていない。
だけどこの薄暗い部屋に漂う何かが
アナタだけでなく私の神経までをも
駆り立てて。
わざと鼻先を掠める。
ふんわり触れるように押し付ける。
この感覚を最高の状態で味わう為には…
決して焦ってはいけないの。
─── 香り 味 質感 余韻 ───
私の香りと体液を
想う存分に堪能するアナタは
まるでフレンチか何かのフルコースのよう
と言って私の居る空間を
うっとりと愉しんでいる。
贅沢で濃厚な時間に
常識なんていうものは
もうどこにも存在しない。
前菜からメインディッシュ
デザートまで。
特別な日の食事のように
2人の時間を丁寧に味わいなさい。
そうして骨の髄まで私に満たされた
心を頂く事だけが
私を満たす至高となるのです。