整えられた身なり、質のいいスーツ。
その言動も含め、どこからどう見ても
Sにしか見えないアナタは少しずつ
甘えるように自分の願望を口にする。
決して普段は現れないのだろう。
誰も知らない、誰にも見せたことのない
『 私と一緒のアナタ 』は
私と一緒にいるとありのままの自分で
いられるのだと言ってうっとりと
私の脚にしがみついている。
雑で痛かった奉仕も
いつの間にか優しく丁寧になった。
常識や理性を手放して
自分を他者に預ける幸福を知った。
無力な自分を無条件で赦されるのは
人が生きる上で最も必要な愛。
解放と呼んだりもするけれど
現代社会を生き抜く彼にとって
それは束の間の夢なのかもしれない。
だからこそ殊更に甘く。
この空間を現実から切り離して
その全てを肯定した。