スキンヘッドの彼は、誇りを持ちながら、美容室に行きました。
「俺は少数派でいることを誇りに思う。この髪型は俺が俺である証拠だ」
美容師は困りました。
「ええと、今日はどのようにしましょう」彼はまじめに言います。
「どうだ、俺の頭は。他の人と違って手直すところがないだろう。ふふ。まあせいぜいゆっくりと俺の頭を眺めていればいいさ」
「かしこまりました」
それから30分、美容師は彼の頭を眺めました。
こういう時間もたまには良いものだ、と思いました。
そう、時代は多様性の時代です。
別に髪を切らない美容師がいてもいい。
そう、彼のおかげで思えたのです。
「お客さん、お会計です」
美容師は清々しい面持ちで彼に言いました。
「ペイペイでもいいよ」
「え」
「まさかお前、俺の頭を30分拝んでおいて、金払わないつもりじゃないだろうな」