私の胸の前の本は
マルグリット＝デュラスの
愛人ラマン
です。
その物語の中で
最も好きな表現が
「銀鼠に輝くメコン」
という情景描写。
原作のフランス語で
なんと表現されているのかは
知らないのですが、
日本語で
銀鼠
と言われた汚い川。
汚い、などと言っても
水質汚染などではなく
土の細かい粒子が豊富に
水の中に含まれるためらしく、
むしろ
恵みそのものだそうです。
しかし
透明こそが美しさで
価値観が仕上がっている
日本人の私にとっては
やはり
汚い。
潜りたくないもんだ。
と
引いて見てしまうところが
あります。
それを
銀鼠に輝く
と
恐らく早朝の
日の出
の数十分間くらいの
輝きを
マルグリット＝デュラスは
見たまま、
記憶にあるがままを
表現し、
私に感動を与えてくれる。
私は
ベトナムで早朝に
船に乗った事はないけれど、
自分の中に残る
情景はいくつもあります。
午前中早いうちから
日光は突き刺し始め、
まさに太陽光線と
言わんばかり。
その日差しや暑さゆえ
経度に関わらず
ベトナム独自に
1時間、
世界より時間を遅らせ
尚且つ
日が昇る暗い内から
人々は動き出すくらいです。
昼寝が欠かせない
サイゴンっ子からは
想像つかないくらい、
バイクの動線が
張り巡らされます。
そんな場所で、
揺蕩うメコンの濁りが
一日の中で
唯一美しく
光が光として
"輝く"
のは、確かに
この瞬間だけなのです。
茹だる気温を上げてしまう
高い湿気も、
この時ばかりは
輝きを演出する
ぼんやりとした気だるさ
となり、
この物語の少女の
憂鬱を
一層、観る側に
強く印象づけ、
与えてくれるのです。
お金のため
快楽や好奇心のために
金持ちの御曹司と
愛のない情交を
繰り返した少女が、
本当は
彼を愛していたという結末に
哀愁や感動を与える
作者の自伝的小説
と言われていますが、
私はそこに
そんなに感傷に浸る事は
無いです。
この小説の
素晴らしいところは
ただただ
鋭い美しさ。
貧困と格差
歳の差
擦れた若さと
愚かな恋。
汚れた動機と行為に
耽る二人、
動いている時間、街。
暗い密室の男女は
汚い？
それとも
泣きたいくらい
美しい？
マルグリット＝デュラスの
愛人ラマン
です。
その物語の中で
最も好きな表現が
「銀鼠に輝くメコン」
という情景描写。
原作のフランス語で
なんと表現されているのかは
知らないのですが、
日本語で
銀鼠
と言われた汚い川。
汚い、などと言っても
水質汚染などではなく
土の細かい粒子が豊富に
水の中に含まれるためらしく、
むしろ
恵みそのものだそうです。
しかし
透明こそが美しさで
価値観が仕上がっている
日本人の私にとっては
やはり
汚い。
潜りたくないもんだ。
と
引いて見てしまうところが
あります。
それを
銀鼠に輝く
と
恐らく早朝の
日の出
の数十分間くらいの
輝きを
マルグリット＝デュラスは
見たまま、
記憶にあるがままを
表現し、
私に感動を与えてくれる。
私は
ベトナムで早朝に
船に乗った事はないけれど、
自分の中に残る
情景はいくつもあります。
午前中早いうちから
日光は突き刺し始め、
まさに太陽光線と
言わんばかり。
その日差しや暑さゆえ
経度に関わらず
ベトナム独自に
1時間、
世界より時間を遅らせ
尚且つ
日が昇る暗い内から
人々は動き出すくらいです。
昼寝が欠かせない
サイゴンっ子からは
想像つかないくらい、
バイクの動線が
張り巡らされます。
そんな場所で、
揺蕩うメコンの濁りが
一日の中で
唯一美しく
光が光として
"輝く"
のは、確かに
この瞬間だけなのです。
茹だる気温を上げてしまう
高い湿気も、
この時ばかりは
輝きを演出する
ぼんやりとした気だるさ
となり、
この物語の少女の
憂鬱を
一層、観る側に
強く印象づけ、
与えてくれるのです。
お金のため
快楽や好奇心のために
金持ちの御曹司と
愛のない情交を
繰り返した少女が、
本当は
彼を愛していたという結末に
哀愁や感動を与える
作者の自伝的小説
と言われていますが、
私はそこに
そんなに感傷に浸る事は
無いです。
この小説の
素晴らしいところは
ただただ
鋭い美しさ。
貧困と格差
歳の差
擦れた若さと
愚かな恋。
汚れた動機と行為に
耽る二人、
動いている時間、街。
暗い密室の男女は
汚い？
それとも
泣きたいくらい
美しい？